あるスイーツ女子の話
―─昼間、たまに街に出るの。
そしたら日の光が凄く眩しいんだけどね。
歩いてたらよく、お菓子屋さんが目につくんだ。
それでね、マスター。
あたし、つい、お店に入って、いっつも、つい2つずつ買っちゃうの。
柏餅とか、ケーキとか、プリンとか。
賞味期限がすぐきれちゃうようなやつ。
で、それを持って帰って冷蔵庫に入れてさ。
あとは、待つだけ。
あいつ、いつ来るかわかんないから、来たとき一緒に食べようと思って2つ買うの。
大抵、2つともいつの間にか腐ってる。
あたし、最初のうちは、ちょっと幸せだなって思ってたの。
想える人がちゃんと、こんなあたしにも居るんだーなんてね。
冷蔵庫に2つ入ってて、ちょっとあたし、幸せじゃん、
しおらしくなったかな、なんて。
でも、一体いくつ捨てただろ。
冷蔵庫の中で傷んだお菓子を、あたしはいくつ捨てるようになったかな。
あたし、甘い物、太るから本当はあんまり好きじゃないんだけど
プリンだけは小さい頃から大好きなんだ。
ママがよく、作ってくれたから。
ちょっとおしゃれな、瓶に入ってるようなプリンでね、
夏場なんていつの間にかカビはえちゃうじゃない?
それでね、……マスター。
あたし、プリンがダメになっちゃう事だけがどうしても悲しかった。
そう思ったら、あたしも、傷んだお菓子の事も可愛そうになって、なんだか辛くなっちゃった。
マスターと、小さな客のひと時
―─彼女はここで暫くアルバイトをしていた。
毎晩疲れて、一杯だけジン・トニックを飲んで帰って行った。
とても綺麗で背が高かったから、うちの看板娘のような存在で、人気者だった。
人の話を聞いてあげるのが上手な、優しい子だった。
それが、彼の前では変に気張っちゃって、ずっと話をしてしまうんだ。
付き合いも長いし、一番話しやすかったんだろう。
彼もどっちかというと、話すより、きいているタイプだった。
そうか。
君の前だと彼は笑うし、冗談まで言うんだね。
それは君が特別だからだよ。
彼女にとって、彼が特別だったのと同じでね。
だけどね、それが、どんなに尊い事か、その時の彼は、
自分の事が辛すぎて気づかなかったし、大したことではないと考えていたんだ。
大丈夫、彼は帰ってくるよ
きっと今、彼はあの時ほど自分を不幸だとは思っていない。
だから、彼女だって、
どこかで元気にやっている
僕はそう思っている。
もしかしたら、この店と似た感じのどこかの店で、働いているかもしれない。
だから、今日くらい探しに行くのはやめて
この店でゆっくりしておいで
<終わり>
◆最悪なあとがき◆
プリンの話はちょっと気に入っててあちこちで適当に話してます(作者が
何が好きかって、www報われないビッチの話が大好きなんだ(ゲス顔(自己規制)
いや、結局お菓子は腐るんだけども心の表象があるってなんとなく素晴らしい事ではないか。
近くにその人と居ないときに、相手の事をなんとなく思い出して
お菓子買ってあげよう!そして一緒に食べたいなw
って思えるって、簡単でありふれているようで、実はけっこう高次だよなぁって思いますネ
この人達はマンネリ感であふれていて、気持ちがすれ違いはじめてる感じです
マスターと、小さな客のひと時は、客が小さい的な描写0ですが
まぁ、小さい子が来たって事で。
どこに行っても彼は、誰かを心配させています。それ以上意味は無し
書いてる小説の冒頭にこういう断片をいくつかいれようと思ってます
後でつながる、伏線回収みたいな。それで、
後で見てみたら実は、これだけ見たら、まったりでほんわかしたムードだけど
全体でつながったときゲロ吐きそうになる仕組みにしたいと思っています。
マスターも小さい子優しく諭してあげてるんだけどね
私は本当は夢も希望も無いゲスい話が大好きな癖に自分で書くと
煮え切らない毒を吐きだしきれない話、まぁいい感じのやさしい話にまとめよう
と思ってしまう癖を利用したいと思います。