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    1.3 解凍

    1.3 解凍


     出入りはエントランスからではなく、裏の職員玄関から行っている。
     ミオは鍵を開けスイッチを入れた。
     電気は当然点かない。
    「うん、停電だ」
     ミオはカラビナから懐中電灯を外した。
     館内のブレーカー上げにいかなければならない。
     中はやけに静かだ。
     いつものゴウゴウ、ゴトゴトという機械の音が聞こえていない。
     三年間ここで過ごしていてこんな事は初めてだ。
     自分の足音と、身につけている熊鈴やナイフなどの装備類が擦れる音ばかりが聞こえる。
     静寂に響く鈴の音はいつになく恐怖を掻き立てる。
     ミオは熊鈴を外し、スカートのポケットに突っ込んだ。
     停電時の復旧作業は慣れたとはいえ、時々ヤールが背筋の凍る怪談をするので、怖いと思う事があった。
     四角い窓の並ぶ冷蔵庫はただでさえ不気味な様相を呈している。

     暗く長い廊下の先には広いエレベーターホールがある。
     非常階段とベッドごと入れるエレベーターと、職員用のエレベーターの二基。
     ミオは非常階段を使い、0エリアまで降りた。
     0エリアも通用口で感じたものと同様に静寂そのもので、唯ならぬ様子だ。
     廊下を進んだすぐそこに制御室はあった。
     制御室の戸を開け、懐中電灯をブレーカーの位置に照らす。
     三脚に上り、ミオはブレーカーをあげた。
     廊下の蛍光灯が手前から奥へ、一ずつ点いていく。
     電圧不足の照明が蝋燭のようにちらちらと明るさを変化させている。
     ミオ仕様にアレンジされた室内は、異常無く全く昨日のままだ。
     幼虫の瓶詰もティカップも花瓶にさした花も。
     これでいつも通り。
     ミオは室内の椅子に腰かけた。
     この部屋は制御室という名前のくせに全館のブレーカーと空調、ロックの操作が
    出来る役割しかなかった。
     他には動作確認と、機械系統の異常の有無がわかるのみ。
     重要な決定を握るのは昔から中央だった。
     この施設はヤールの先代管理人の時代から国のものになった。
     ヤール曰く、150年の間に数々の組織の手に渡ったが国も落ち着いた為、委託されたという。
     国と関わりの深い寺院管理だった時代もあったようだがそれが10年くらい前まで
    騒がれていたというシビラ教の反対派ということらしい。
     ミオやヤールも信仰している山岳信仰の麓にある大寺院だが、シビラ教というのはシェルターの管理を
    きっかけにそこから宗派が分かれたいわゆるセクト教団ということらしい。

     学校で受けた歴史の授業を思い出した。
     ミオが生まれるずっと昔、まだ人造人間に対して世間が大きな抵抗を持っていた時代があり、
    当時大っぴらにされていた人造人間工場がその集団によって放火された。
     その事件を契機に構成員は拡大され支持を集めたが、次第に人類全体が人造人間なしでは
    成り立たなくなり、廃れたのだ。
     それから半世紀経ち、人造人間、そして人造人間により生まれた「人間」の間には
    隔たりを残したまま今に至る。
     もう一世代か二世代か時が過ぎれば、人造人間など必要なくなり落ち着いた世が来るとも言われている。
     時にミオは、どうしてこんな自分に人間と同じように感情が与えられたのだろうと思うことがあった。
     人間との違いはなんなのだろうと。
     この国の人々が人の営みに対する価値観やあり方、生命倫理的な考え方の基盤を、古代から受け継がれてきた
    山岳信仰の元に持っているからなのだとヤールは言っていた。
     世界各国を見ても、偏見の根強く残るのはコーデリテなど信仰深い国々だけだという。
     新しい人類として認められなかったのも、未だに人造人間に全ての権限が与えられず短命な理由は
    技術をもたらした一番最初の科学者が敬虔な宗教家だったからだ。
     彼がこの仕組みを広めるにあたりそれらののルールを作った。
     簡単に言ってしまえば、それが人造人間が新人類になれなかった理由だ。
     それでもミオは祈り夢を見て、人を想う。
     自分だけではない。
     これまで関わってきた人造人間達は一人残らず全て、4つ山に見立てたキャンドルに火を灯して
    お祈りもするし叶うはずもない夢を語って過ごしていたのだ。
     思うことはある。
     だが、誰も隔たりを越えようと思う者など居ない。
     人造人間が短命に生み出される理由は彼らの思考を熟させない理由もあるのだ。
     ヤールは言っていた。
     それが出来る者が居るとすれば人類が生物として健康だった時代に生きていた古代人だけだと。



     館内のロックは停電の影響で解除されている。
     こればかりは安全上仕方なかった。
     一つ一つ扉をチェックしてまわり動作の確認をする事。
     これに毎回時間がかかる。
     見まわりをして記録をつけて中央へ送信したらあとはもう帰るだけ。
    「よし」
     シュンリの体温が上がっていたことを思い出し、ミオは両頬を叩いた。
     その時、ふと赤い色が目に入った。
     住人達の眠る寝台には普段、緑色のランプが点灯している。
     モニタのランプが全て赤い。
     ミオは理由がわからず、少しの間ぼーっと画面を眺めていた。
     引き出しを開けマニュアル本を探しながら、稼働音が聞こえない理由がようやくぼんやりとわかった気がした。
     ゾクッと、全身に鳥肌が立つ。
     いつもとは違う。
     何か問題が起こっている。
     どちらにせよ自分の目で何が起こっているのかまず確かめなくてはいけない。
     ミオは制御室を出て、廊下沿いに並ぶ男性棟0エリアの個室へ入った。
    「……」
     部屋は冷気で満ちていた。
     ミオはジャージを羽織った。
     寝台のランプは全て赤く点灯している。
     静かにぶるぶると手が震え始める。
     やはりそうだ。
     解凍が始まっている。
     ミオは携帯電話でヤールに電話をかけた。
     制御室のモニタは、全てのコールドスリープが解除されたという事をしめしていたのだ。
     ミオは続いて女性棟0エリアへ向かうべく館内カードキーを戸に翳した。
     ここを突っ切る他、そちらの棟へ行けない構造になっている。

    『はい、中央コールセンターです。要件を承ります』

    「緊急です。ヤール・テトゥルに繋いでください」
     ミオは無駄に足踏みしながら小声で言った。
     体を止めたら、声が出なくなる気がしたので。
    『承りました』
     保留音が聞こえ出し、ミオは小さく息を吐いた。
     その間に別の棟の様子を見にいこう。
     本当に解凍が始まってしまっているのなら、しなくてはいけない事はいくつもある。
     一人一人生死を確認する。
     だけどその確認は知識の無い自分には出来ないだろう。
     全員分のアンプルは医療用冷蔵庫にしまったばかりだ。
     解凍後に打たなければならない注射、点滴セット。
     次々に用意をして、打つ。

     100人分を……?

     どれだけ時間がかかるだろう。
     待たした分だけ生存率も下がってしまう。
     どちらにせよ、まずは他エリアの確認だ。
     ミオは両頬を叩き自分に気合を入れた。
     ヤールもミオも、あの残酷な結論が出された調査の後でさえ点滴など一式はかならず人数分
    揃えておいて欲しいと折れずに訴えつづけてきた。
     だが、一般市民の関心も失われた今、辺鄙な場所に建つこの設備は国にとっても邪魔に過ぎなかった。
     昔から古代人の研究などをしてきたヤールも、今では変わり者と言われるばかりだ。
     ミオはヤールが書いた本が好きだった。
     そして、古代人の優れた時代について情熱的に話す姿が好きだった。
     もしも99%の人間が死んでいるなんて事が嘘だったら。
     古代人達によるウイスキー工場の再稼働、それによって栄え出す街。
     これらは全部、元々全てヤールの語っていた夢だ。
     だから、目を覚ましてしゃべり出さなかったにしても、シュンリがとりあえずは生きていてどれだけ
    喜んだことか。
     ヤールは再び元気を取り戻し、それに望みをかけて中央へ出かけて行ったのだ。
     そして住人達の解凍日にここに戻る予定だった。
     あまり感情を表に出さなくなってしまったからといって、気持ちは過去のように戻っているはずなのだ。
     自分がこの場はしっかりしなくては。

     ミオは廊下を歩き、食堂の戸をカードキーで開けた。
     電話はまだ繋らない。
     食堂は薄暗くがらんとしていたが、妙だった。
     柱の向こうの影が動いている。
     ずるずると水分を含んだ布を引きずるような音が聞こえる。
     ミオは電話を下ろし、ジャージのポケットへ入れると耳を澄ませ銃を構えた。
     何かが居る。
     音を立てぬよう息を殺し、一歩ずつ。
     柱の向こうを覗き込むと、そこには何かが蠢いているのが見えた。
     狼か、熊か。
     ミオは近づいてしまった事を後悔しながら、一歩ずつ後退した。
     停電している間にシェルターのロックが開いてしまったのかもしれない。
     その間に、付近に生息していた肉食動物が入り込んだのだろうか。

    『こちらコールセンター、現在ご不在で繋がりませんでした。お急ぎでしたらー……』

     電話を切っていなかった。
     ミオは慌てて携帯電話を切った。
     ようやく電源が切れたと思った時には、影が近づいていた。
     熊だったら殺されるし、狼に噛みつかれたら傷口から悪い菌に感染するかもしれない。
     影が近づき、心臓の動揺も大きくなる。
     ミオは立ちすくみ、目を見開いた。
     黒い影は二本足で立ち上がり、二つのギョロリとした目でこちらを見たのだ。
     人だ。
     長い腕には黒い毛が生え、口元からは何かを貪ったような赤黒い皮膚と血が垂れている。
     彼に言葉は通じない。
     ミオは直感的に理解した。
     ゾンビだ。
     ミオは後ろにしりもちをついた。
     携帯電話がテーブルの下に転がっていく。
     ゾンビ男はぴったりとミオと目を合わせながらゆっくりと近づいてくる。
     ふと、視界の端で別の影が揺れる。
     そこには、もう一体のゾンビが居たのだ。
     ミオは横目でそれを目視した。
     体毛は無い。
     浅黒い骨ばった体に細長い手足。
     痩せこけて頭蓋骨の形が見て取れる貧相な顔貌には表情が無い。
     わかるのだ。
     彼にも言葉は通じない。
     すると、目の前まで迫っていたゾンビは、ゆっくりとミオの視線の先を見たのだ。
     もう一方の骸骨ゾンビに咆哮し、のしのしとそちらの方へ歩いて行く。
     ミオはその視線の呪縛から突然解かれたように呼吸を繰り替えした。
     静まっていた心臓が拍動を再開し、縄跳びをしたように跳ねる。
     ミオは座った姿勢のままずるずると後退し、扉の前まで来ると、すくむ足でどうにか立ち上がり
    カードキーを翳そうとした。
     しかし、どう気合を入れても立ち上がることが出来ない。
     腰が抜けたのだ。
     もう少しという所で力が入らず、思い切り床に倒れこむ。
     二体のゾンビがこちらへ気づき、テーブルや椅子を四方八方へ乱暴に掻き分けながら迫ってくる。
     気付かれた。
    「うあーッ」
     ミオは大声の気合と共に戸にへばりつき、よじ登るように立ち上がり、カードキーをどうにか翳した。
     戸は開き、ミオは転がり込んだが、それはゾンビたちも同じだった。
     だが、職員用の通路は狭く二体はお互いの体で挟まれ思うようにミオを捕まえる事が出来ない。
     ミオも腰が抜け、うまく後ろに下がれなかった。
     一方はミオのブーツにかじりつき、一方はその鋭い爪で上着をむしり取った。
     ミオは掴んだままだった拳銃を振り回し、ゾンビの頭を殴打した。
     当然効き目は無い。
     かじりつかれた片方のブーツが奪われる。
     次に引っかかれたりガードの無い足にかぶりつかれたらおしまいだ。
     ミオは両手で拳銃をどうにか構えると、続けて引き金を引いた。
     がらんとした食堂内に銃声が轟く。
     どこかに当たったのだろうか、怯んだゾンビは叫び声を上げ戸の後ろへ下がる。
     ミオは鉄製の戸をしめ、鍵をかけた。
     呼吸が落ち着いたころには、立ち上がる事も出来るようになっていた。
     通路に落としていたカードキーを拾おうとした時、ガンガンと鉄製の戸を殴打する音が聞こえてきた。
    「わっ……」
     ロックされた戸の向こうにはあの化け物がうじゃうじゃ居て今にもこじ開けられてしまうような気がした。
     携帯電話は食堂に落としてしまった。
     だが、幸いな事に自分は無傷だ。
     そして拳銃もある。
     だが、この状況はいくらなんでも一人で手におえるはずが無い。
     解凍されてしまったシェルター、いつの間にか侵入を果たした謎の凶悪生物。
     ミオは男性棟0エリアに戻り、膝を抱えた。
     脱力する体にどうにか鞭を打ち立ち上がらせる。
    「そうだ、私……女性棟に行こうと思って襲われたんだ」
     ミオは考えた。
     食堂エリアは中央にあり全ての棟に繋がっているため、女性棟へ行くには必ず食堂を
    経由しなければならない。
     スタッフの通用口や非常経路は使えるが、安全かどうかはわからない。
     食堂エリアに居た獣達が侵入してきた経路は不明だが、シェルターのセキュリティ上、どのエリアにも
    カードキー無しでは入れないようになっている。
     ただし、館内はエントランス以外、外へ出るのは自由なので自動扉で開く住人用出入り口へは近づけない。
     あのゾンビたちは本当に外から入って来たのか?
     食堂へは、地上のエントランスから大階段を降り、他のエリアと同じくカードキーで認証を受ける必要がある。
     核戦争の時代、ガスや生物兵器から身を守る必要があった事から、シェルターにある戸はどれも分厚く大掛かりなものだ。
     一時的にロックが外れたからといって簡単に外からの侵入を許す作りではない。
     ミオは歯を食いしばり制御室へ踵を返した。
     このまま止まっていたら立てなくなる。
     今回の停電は、いつものものより長い間起こったのかもしれない。
     電圧が低くなり、コールドスリープ状態を維持するための機械系が賄えなくなり、解凍に至ったのか。
     ミオはモニタの記録へアクセスした。
    「……午前4時20分から30分間の停電……、その間、予備電源は……。わからない……もう、ポンコツ!」
     怒りを込めて一人毒づく。
     予備電源に切り替わらず、非常事態として館内のロックが解除されてしまったとしたら、侵入者が入ったのはその時間だ。
     だが、接触した時の印象から察するに彼らに特別高い知能が備わっているとは思えない。
     外から侵入してきた事を仮説するのはどう考えても合理的では無いのだ。
    「中に最初から居た……」
     ミオは館内の監視カメラを切り替えた。
     外の様子が映し出される。
     入り口付近に異常は無い。
     自分の黄色いスクーターもそのままだ。
     エントランスホールの映像は壊れていて映らない。
     続いて、食堂エリアの映像。
     襲われた職員通用口付近の戸の前には何も映っていない。
     回りに動く影は見えない。
    「どこ、行ったんだろう……」
     食堂エリアは広いが、動作するのはこの一点のみだ。
     足りない。
     セキュリティが甘すぎたのだ。
     だが、仕方なかった。
     助成金はおろか維持費でさえどうにか捻出されている状況で、作動するカメラがいくつかあった事が奇跡だった。
    とにかく、あの化け物を外に出すわけにはいかない。
     ミオは息を飲み、全館にロックをかけた。
     シェルターで眠っていた人たちがゾンビになって目覚めるなど。
     そうであったら一番最初に解凍したシュンリも、化け物の姿をしていたはずだ。
     全てのエリアの住人の顔と名前は把握している。
     彼らのバックグラウンドも。
    「そんなはず、無い」
     一人飽きれた妄想に毒づく。
     ミオは無理やり可笑しい気分を装いながら女性棟0エリアの監視カメラをモニタに映した。
     そこは、このエリアと同じ静かな廊下が映し出されるだけで変化は無い。
     赤いランプが点灯しているのが扉ごしに見える。
     ミオは深く息をついた。
     ゾンビなど居ない。
     ……少なくとも女性棟の0エリアには。
     ヤールはこちらから連絡が無いのを不審がり戻ってくるだろう。
     シェルターの異常は、ミオの携帯電話にも来ていたと同じくヤールにも伝わっているはずだ。
     だが、このまま何も知らないヤールがただ一人で帰ってきたところで。
     二人共何も出来ず危険に晒されるだけだ。
     古代人達も死んでしまう。
     このまま助けが来るまでここで待つか。
     それとも携帯電話を取りに食堂へ入るか。
     ミオは唾を飲んだ。
     あのゾンビ達が外からの来訪者ではないという事を、ミオは悟ってしまった。
     彼らは中に居た。
     元々、中に居たのだ。
     別のエリアからあの食堂にあがり、さらに地上へあがってしまう者もこれから現れるかもしれない。
     安全上、内側からのロックは手動で簡単に解除されるようになっているので。
     そしてなによりの不気味、女性棟とそれ以外の下層のエリアのカメラはまるで作動していない。

    「危険を知らせなきゃ……」

     データは自動的に中央に送られているが、通信機能は数年前よりダウンしている。
     そんなわけでミオが持っているテレビ電話機能のついた衛星携帯電話も、彼女を一人にさせておく事を
    不憫に思ったヤールが個人的に持たせているものだった。
     携帯電話を取り戻さなくては。
     食堂で襲われた時、携帯電話を落とした位置もわかっている。
     職員通用口から、あの獣を見つけた柱まではそれほど離れてはいない。
     解凍が終わるまでにこの状況をどうにかしなければ、住人達は本当に死んでしまうだろう。
     ヤールの話では、解凍された人間のバイタルが戻るのは10時間だ。
     解凍が終わり平熱になると自動的にカプセル状になった寝台がスライドして出てくる仕組みだ。
     停電と同時に解凍が始まったとするなら、まだ寝台の中では解凍が行われている最中だ。
     今は、今朝の携帯電話への警報の時間を考えると、まだ解凍が始まって5時間程度しか経過していない。
     解凍を終わり寝台が開くまでにはあと5時間はあるという事だ。
     それまでに誰かが異変に気付いてやってくるだろうか。
     ミオは唸った。
     解凍後にはある処置が必要だった。
     凍りついた細胞を元にもどすための注射を身体の三個所に打つ。
     そうしないと壊れた細胞が崩れどろどろに溶けてしまうと言われている。
     シュンリの時はここへ来た中央からの医療班が行うのを見ていただけだったが、今は自分しかいない。
     そして、そのタイミングは解凍から5時間が経った丁度今から寝台が開くこれからの5時間だと聞いている。
     シェルターに収容されているのは残り99人。
     一人にかけられる時間は単純計算で3分。
     手際よく打たなければ折角生き残った人たちも死なせてしまう事となる。

    「アンプルは……一番下の階だ。食堂を通って地下へ降りないと……」


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    posted by 小説あらすじ |