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    乳の秘密
    ■モーテルのラウンジにて


     ……というわけで、モンテミドロにはとても多くの水が使われているってわけ。
     だからこれでも高級品なんだよ。

     へえ……。


     水に限らず、色んな物が限られてて大切に使う習慣があるから
     昔のようには自由に使えないと思った方がいいかも

     ……その割に、あんたは色々な服を持っているようだけど



     うん。今年に入って沢山買ってもらったんだ。前のは着られなくなっちゃったから。
     ね、ヤールさん

     ああ……。


     背が5センチも伸びて、胸も一気にこんなんなっちゃったんだ。
     聞かされてはいたけど、驚いたよ〜。

     聞かされていたって?

     ミオは生まれる前にそうデザインされていたんだ。

     デザイン……?

     あなたの時代には無かった概念かもしれないな。


     あっ。私も自分のこと、そこまで知ってるわけじゃないんだ。
     ねえヤールさん、その、このまま私どうなるの?


    もう落ち着く頃だと思うぞ。

     あー、よかった! こないだ買った水着入らなくなったらどうしようかと思ったよ〜。

     泳げないのに水着を買ったのか。。

     私の分だけじゃないよ。こんどテトゥルに帰った時、3人で泳ぎたいなあって

     うーん……。

     話を戻しますが、デザインというのはこの世の全ての人間が?


     人造人間だけだよ。ある程度、どんな風に成長するのか
     人造人間がほしい人間が決めるんだ

     ……。(ジトッ……)

     な、なんだその目は……。

     ?


    ■喫煙所

     ねえ、さっきヤールさんに言いたいことがあったの?


     見た目をデザイン出来るという事は……色々なニーズに対応出来る人造人間が
     存在していてもしかるべきだと思ったんだ。
     ……あんた達はどことなく容姿が似ている気がするけど、そういう路線の受容も……
     (あのオッサンはどことなく暗そうだ、人造人間に娘であり、ある種の母性のようなもの←乳的な意味で
      を求めたんだろうな……)


     ん? 似てるって言われると嬉しいけど、私達は他人の空似だよ。
     だって、私をデザインしたのはヤールさんとは全然関係ない人だからね。
     私は、その人の所で働く予定だったと思うんだけど、そうならなかったからここに居られるんだよ

     養子になるような事か。


     まず、中央で役目を終えたお母さんが、私と一緒にテトゥルに移り住んできたんだよ
     ヤールさんは、テトゥルのシェルターで古代人の研究をしていた学者さんね。
     もうその時代、あそこにはヤールさんと司書をしていたお婆さんしか居なかった。
     だから、私達は集まって家族みたいに生活するようになったんだ。
     一般の人造人間は10歳くらいで学校で勉強するため親元を離れるんだけど
     その期間中に私をデザインした人から、ヤールさんが私を引き取るようにしてくれたんだよ

     変なシステムだ



     古代人にはやっぱりそう見えるんだね。


     ……人間の増える力が弱くなっている事はわかったんだが
     人造人間を生み出す技術があるなら、強い人間を遺伝子操作的な方法で
     生み出せばいいのに。



     確かに! そういう技術はありそうだよね。
     だけど、宗教的事由でそうはいかないみたいだよ。
     シュンリはそんな価値観持ってるんだね。でも、この仕組みがこの時代には
     はまりすぎて、そんな風に思う人も少数派なんだってヤールさんが言ってた。
     でも私は、これでいいんだと思ってるんだ。


     (縛られる存在……。システムもそうだが、こいつら自身にも問題はある。それは……)



     ……だから、私たちみたいな例は稀といったら稀みたい。
     まだ何かある?

     じゃあ性格は? デザイン出来るのか?

     うーん、そこまでは……知らない。色々だと思うけど……。


    (知能は……、本人に聞く事じゃないな。ミオは、賢くはなさそうだけど
     バカでもない。これくらいの知能があれば考え至りそうなこともありそうだが)

     私、やっぱ変かなぁ。



     (終わりを受け入れるみたいな姿勢が現代人にはあったな、だけど
      戦争やらが落ち着いて科学力と共に人間も増えこの世も熟せば、案外150年前のように
      戻っていくのかもしれない。
      そんな歴史の繰り返しをよしとしない宗教家が今の世の根本を作ったのだろうから。
      現代の中途半端な科学技術と宙ぶらりんな人造人間という存在にはギリギリの危うさがある)



     ねえっ。何か他にある? 知ってる事ならなんでも教えるよっ


     ……ばあさんになった時、垂れるだろうな


     えっ、垂れる? 何が?
     うーん、ばあさん、……ばあさんかぁ〜。そういえば、お婆さんって存在も珍しいんだよ。
     シュンリがこないだまで居たカーラシュタの療養所って、長寿研究の施設なんだけど、
     どうしてそんなに長生き出来るのか調べてるのね。テトゥルに居たお婆さんは、
     ずっと協力しないか要請が来てたんだ。


     ああ、現代人は早死なんだな
    (だから人間自体が熟さないという事なのか……?)

     はやじに……あ、そっか、それが「老い」っていう概念なんだね!!


     今の時代はみな夭折なのでそんな概念も無いんだな
     確かに、街には高齢者の影すらなかった。

     概念がないわけじゃないけど、私はあんまり考えたことないかも

     あんたは若いから、どっち道そんなのずっと先だろう


     ……、そうだね。でもシュンリだって若いじゃん。
     昔の人が80年くらい生きたって本当?


     本当。

     ひえー、じゃあ、あなたもそれくらい生きる?

     さあ、食あたりさえしなければそれくらいは

     食あたり……。なんかやな言い方だなぁ〜

     


    ■とりあえず終了

     
    posted by 小説あらすじ |